社会保険労務士法人JOYは設立から1周年を迎えました!
令和7年9月6日、社会保険労務士法人JOYは、設立から1周年を迎えることができました。
この1年、多くのお客様と出会い、信頼とご縁に支えられながら、ひとつひとつの業務に真摯に取り組んでまいりました。
日々の手続きや対応こそが信頼の土台であり、その積み重ねがあってこそ、より良いご提案や仕組みづくりにつながる——私たちはそう信じています。
「社会にやさしい提案型社労士法人」として、これからも現場に寄り添いながら、確かな知識と実行力、そしてちょっとした“ひらめき"を大切に、皆さまのお役に立てる存在を目指してまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
社会保険労務士法人JOY
代表社員 松村 真奈美
「育児と介護の同時進行」が問いかける、日本の働き方の本質
2025/09/01 14:05:02 コラム
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~少子高齢化社会の現場から考える、制度と人生の再設計~
先日、厚生労働省は最低賃金の改定協議に入り、全国平均1,500円台を目指す意向を示しました。一方で、労働にまつわるもう一つの大きな潮流が、静かにしかし確実に進んでいます。それは、「育児」と「介護」がセットとなったライフステージの現実です。
育児、そして介護へ──制度は後追い
育児のための法制度は、先に整備されました。産休・育休・子の看護休暇などを求める声が高まり、形となってきたのです。そして、介護はその後を追うように制度改革が進んできました。2025年改正の育児・介護休業法では、改めて育児・介護の両立支援が盛り込まれています。小学校就学前の子を持つ労働者への残業免除、テレワークの努力義務化、介護離職を防ぐ体制整備など、両者の共通点を意識した統合的設計が施されました。
これは単なる制度改正の枠を超え、現代のライフステージがますます複雑になっている証左にほかなりません。
75歳以上増加する社会構造
日本は世界一の高齢化が進む国です。2025年の時点で、75歳以上人口は全体の約17.5%に達し、65歳以上では既に30%強を占めています 。こうした中、高齢者介護は決して他人事ではなく、誰もが直面する可能性のある生活課題です。
子育てしつつ親を支える──いわゆる「ダブルケア」は、既に多くの家庭で現実となっています。近い将来、育休や職場復帰と同時に介護が始まる方も珍しくないでしょう。
育児環境は向上、しかし経済的負担は重く
安心感のある育児施設や教育の質、保育所の数は確かに増えています。しかし、物価上昇とそれに伴う保育料・教育費の高騰は、若年家庭に決して軽い負担ではありません。時給換算すると、最低生計費に見合う水準は1,500円、さらには1,700~1,800円とも言われます。制度は整えられても、実生活の「経済的リアル」はまだ追いついていないのです。
制度の先にある「人生設計」
育児や介護が生活に入り込む中で、働き方にも根本的な再設計が求められています。「育児だけ」「介護だけ」ではもはや語れない。人生全体を通じて働く環境をどう設計するのか。その課題こそが、今日の社労士に突きつけられているのだと思います。
社労士として社会にできること
まず前提として、両立のための法制度は拡充されました。しかし「制度がある」だけでは現場の助けにはなりません。私たち社労士が果たすべきは、“制度を使える仕組み"へ落とし込み、人生と現場に根ざした働き方を共に設計することです。
具体的には:
•育児・介護休業の柔軟な取得設計
育児と介護を同時期に抱えるケースでは、交互取得や分割取得の制度設計が必要です。
•テレワークや短時間制度との融合
たとえば「3時間のテレワーク+2時間出社」のように、時間単位で休暇と労働を組み合わせる提案。
•助成金・自治体支援との連携
厚生労働省や地方自治体の支援制度と連携し、コスト負担を軽減する制度支援。
•当事者目線の相談窓口整備支援
育児・介護両立に悩む従業員が相談できる社内体制の整備に踏み込む。
最後に
今、日本は「育児の環境充実」と「介護対応」の狭間で揺れ動いています。その波を越える鍵は、制度に人を合わせるのではなく、人の人生と制度を調和させる制度設計。社労士はその橋渡し役として、もっとも適した立場にあります。
政策や助成金、法制度はいずれ忘れられる記録ではありません。大切なのは「人の暮らしと人生」に寄り添い、制度を生きたカタチにすることだと、私は強く信じています。
ホームページリニューアルのお知らせ
平素よりご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
このたび、公式ホームページをリニューアルいたしました。
より見やすく、使いやすいサイトを目指して内容を更新しております。
今後ともご愛顧賜りますよう、よろしくお願いいたします。
広島県の最低賃金が1,085円に引き上げられます(11月1日施行予定)
広島県の最低賃金が、2025年11月1日から 1時間あたり1,085円 に引き上げられる見通しとなりました。
現在の1,020円から 65円アップ(6.4%増) となり、過去最大の引き上げ幅です。これで5年連続の引き上げとなります。
今回の改定のポイント
・新しい最低賃金:1,085円(1時間あたり)
・引き上げ幅:65円(過去最大)
・施行日:2025年11月1日(例年より1か月遅れの改定)
なぜ11月から?
例年は10月1日が多いのですが、物価高や人手不足の中で、中小企業への影響を考慮し、今回は1か月遅らせて11月1日からとなる予定です。
事業主の皆さまへのお願い
最低賃金の改定は、企業の 賃金規程や就業規則 の見直しにもつながります。特にパート・アルバイトを多く雇用されている事業所では、給与計算の変更が必要になる場合があります。
「気づかないうちに最低賃金を下回っていた…」ということにならないよう、早めのご確認をおすすめいたします。
当法人では、今回の改定に伴う
・賃金規程・就業規則の見直し
・助成金の活用方法
・中小企業への実務的な対応サポート
などを行っております。お気軽にご相談ください!
社労士という仕事の、その先に見えるもの
社労士という仕事の、その先に見えるもの
――制度の向こうにある、働く人の「横顔」を見つめながら
社労士として日々現場に関わる中で、ふと立ち止まりたくなる瞬間がある。
労務トラブルの相談でも、助成金の手続きでもない。
そうした制度や仕組みの奥に、ひとつの「働く顔」が浮かび上がってくるときだ。
誰にも見せない、疲れた表情。
声にならない不安。
言葉の裏に隠された、本音。
それらは、帳簿や法律だけを見ていても、決して気づくことはできない。
横顔は、正面からは見えない。
だからこそ、社労士は制度の枠に収まりきらない「人間の揺らぎ」に目を向けるべきだと思う。
正しさと現実は、ときにすれ違う
制度は、誰かを守るためにある。
けれど、その「守る」という意図が、ときに現場を縛ってしまうことがある。
たとえば、労働時間の是正を求められても、
「じゃあ、明日から誰が現場に立つのか」という現実に、経営者は直面する。
最低賃金が上がり続ける今、
人を雇うことが“経営リスク"と見なされるような空気もある。
正しさが、苦しさに変わることがある。
それは、経営者にとって最も重い矛盾のひとつだ。
その矛盾の中で、それでも誰かの雇用を守ろうと踏ん張る。
そんな姿を、何度も見てきた。
法律と人のあいだに立ち続けるということ
社労士の役割は、法律の代弁者でもなければ、現場の代弁者でもない。
その両者の“あいだ"に立ち続けること。
そこには、揺れも葛藤もある。
けれど、その狭間でバランスをとることこそが、
“人が働く"という営みを壊さずに守っていく、唯一の道なのだと思う。
ときに誇らしく、ときに苦しい。
それでも、制度を人に近づけていくこの仕事には、確かな意味がある。
経営とは、決断の連続である
「社員を守りたい」
「でも、数字が追いつかない」
「今を乗り越えなければ、明日が来ない」
経営とは、正解のない問いに、毎日「決断」という答えを出し続ける営みだ。
誰かに褒められることは少なく、
むしろ批判の矢面に立つこともある。
それでも、その背中には、社会の雇用の未来が乗っている。
だからこそ、「制度通りにやりましょう」と簡単に言うことはできない。
現場にとって、会社にとって、いま何が最善か。
その答えを、丁寧に、時間をかけて組み立てていくしかない。
制度を語るのではなく、人の生き方を支えるために
社労士という仕事は、結構泥臭い仕事だ。
華やかな成功も、派手な舞台もない。
けれど、確実に、誰かの働く日常を支える力がある。
経営者の孤独や不安を、
働く人の迷いや痛みを、
すべて解決することはできなくても、
そのそばに立ち続けることはできる。
制度の知識を携えながら、
法律と人のあいだに立ち、
その揺らぎごと受け止めながら――
「守る」ことと「生き残る」ことを、どう両立させていくのか
経営に正解はない。
けれど、問いを手放さずに考え続けることだけはできる。
社労士という仕事は、制度をふりかざすことではなく、
その問いのそばに立ち続けることなのかもしれない。
「この時代に、誰のために、何を守るのか。」
その問いを忘れずに、今日もまた、制度の向こうにある「横顔」を見つめている。