障害年金セミナーに登壇しました
2025/11/28 17:35:49 セミナー
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11月28日(金)、就労移行支援事業所 LITALICOワークス広島紙屋町様 にて、当事務所代表の松村真奈美が講師として登壇いたしました。
テーマは「ゼロから学ぶ障害年金セミナー」。
当日は、利用者様・ご家族様・職員様にご参加いただき、熱心に耳を傾けてくださいました。
参加者の皆さまからは多くのご質問も寄せられ、会場は終始前向きな雰囲気に包まれていました。
障害年金に関するご相談や、セミナー開催に関するお問い合わせは、当事務所までお気軽にご連絡ください。
制度の網目を抜けていく“働き方改革”──
高市政権が示す“たしかな変化”と現場が問うべき問い
働き方改革──その言葉自体は、もう新鮮味を失い始めている。だが、導入された制度の数と、働く人・運営側が実感する変化とは必ずしも一致していない。企業の現場では「制度が整った」という報告よりも、「使いこなせていない」「導入はしたが効果が見えない」という声がむしろ増えている。
東京都が実施した企業実態調査では、「短時間勤務」の導入率46.5%、「時差出勤」40.3%、「フレックスタイム」31.8%という数値が示されている。(東洋経済オンラインより
https://toyokeizai.net/articles/-/914259?display=b&utm)
いわゆる“柔軟な働き方"が制度化されたとしても、現場に浸透していないという現実がそこにはある。
では、どうして現場とのギャップが生まれるのか。
それは制度設計と制度運用の間に、企業規模・業務特性・人的リソースという三つの壁が横たわっているからだ。大企業であればシステム導入、コンサル支援、労務専門担当者の配備が可能だ。しかし、中小企業では「制度を作ること」それ自体が重荷になっている。人手が足りず、時間も金銭的余裕もない。制度を“守る"ことだけに注力すれば、かえって働きにくさを生むという現実がある。
そこで注目されるのが、高市早苗政権による新たな働き方・雇用政策の動きだ。高市氏は2025年10月4日の総裁選勝利演説で、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨て、働いて働いて働いて働いて働きます」と宣言した。
(PRESIDENT Onlineより
https://president.jp/articles/-/103411?page=1&utm)
そして就任直後には、「心身の健康維持と労働者の選択を前提とした労働時間規制の緩和検討を指示」したという報道もある。(
https://x.com/i/trending/1981462188217766086?utm)
このような発言・方針を見ると、二つの印象が読み取れる。ひとつは、「働きたい人がもっと働けるようにする」という選択肢の拡大を目指しているというポジティブな意図。もうひとつは、「制度を整えて終わらせるのではなく、次に何をするか」という現場運用への問いかけである。
つまり、働き方改革が「制度をつくる」フェーズから、「制度を活かしていく」フェーズへ移ろうとしている兆しかもしれない。制度の網を張るだけではなく、その網が本当に働く人・企業を支えているかどうかを問う段階にあるのだ。
しかし現場の観点からは、懸念も残る。
制度の“導入率"が実績として報じられても、実際に「働きやすくなった」「採用しやすくなった」「離職率が改善した」という効果につながっていなければ、その制度は掛け声で終わってしまう。いまこそ、次の視点が重要だ。
① 制度の“質”を問う
例えば、フレックスタイムを導入していても、実態としてコアタイムが長すぎて結局働く時間は変わらないというケースが少なくない。制度は存在しても、運用が伴っていなければ意味がない。企業は、自社と従業員の実状に即して、制度を選び直す時期に来ている。
② 導入・運用を支える体制整備
中小企業では、制度を「つくる」段階で止まることが多い。政府・行政は制度整備だけではなく、導入・運用を支援する“現場の仕組み"を整えることが求められている。高市政権の「選択を前提とした規制緩和検討」の指示は、まさにその“次のフェーズ"として注目される。制度だけでなく、使える制度にするための支援機構が肝要である。
③ 価値観と採用の観点を捉える
若年層・中途層ともに、働き方や福利厚生のあり方への価値観が変化している。「働きやすさ」「健康支援」「制度の実効性」が採用・定着の鍵となっている。こうした人材環境の変化を、企業側が「コスト」ではなく「投資」として捉えられるか。制度が古い枠組みのままであれば、人材確保の競争に敗れるリスクがある。
最後に、働き方改革の本質をあらためて確認したい。制度の整備や政権の宣言が目的ではない。目的は「働く人が安心して、長く、力を発揮できる環境をつくる」ことである。高市政権のもとで示された「選択と規制見直し」の方向性は、現場にとってのチャンスである。だが、制度が現場を追い越してはいけない。制度は現場を守るためにある。
制度の網目にかかって抜け落ちていく企業や働く人々がいてはならない。
「制度を守るために現場が疲弊する」のではなく、
「現場を守るために制度が生きる」──その視点を、今こそ再確認したいのである。
賃金と健康 ― 経営者が今こそ考えるべき2つの柱
経営者の皆様、少し想像してみてください。あなたが大切に育ててきた会社の社員が、「お金はもらえているが、心も体も疲れて働いている」と感じていたら。それを放っておくことが、いつか大きな歪(ひずみ)を生み出すだろう、ということを。
日本では、いま賃金と健康をめぐる風景がじわじわ変わっています。それは単なる社会のトレンドではなく、「企業の生き残り」に関わる問題です。
1.「最低賃金」が今、どうなっているか
まず数字から。これを知っておかないと、経営計画も採用競争も立ち行かなくなります。
令和7年度(2025年度)の地域別最低賃金の答申額で、全国の加重平均が 1,121円に上がりました。前年から 66円アップとなっています。
また、47都道府県すべてで最低賃金が 時給1,000円を超えるようになったのは、今回が初めて。変更は 2025年10月1日以降、各都道府県、順次効力を持ちます。
この変化はもう他人事ではないのです。「最低賃金ギリギリで採用している」「パート・アルバイトの賃金を今のままで済ませられる」という考え方が通用しなくなっています。
2.「健康経営度調査」で問われていること
賃金の話と一緒に考えたいのが、社員の健康です。ただ“病気にならないように"だけでなく、「どれだけ働きやすい環境を作れているか」がこれから大きな差になります。
経済産業省が実施している「健康経営度調査」では、企業が従業員の健康増進の取り組みをどのくらいやっているか、その結果どうなっているか、継続的にチェックする項目が設けられています。
経済産業省『令和7年度健康経営度調査』主な評価項目は5つ。①経営理念・方針、②組織体制、③制度・施策の実際、④評価・改善(どれだけ効果を見て直しているか)、⑤法令遵守・リスクマネジメント。
また今年、調査票の内容も少し改まって、制度だけでなく「実行しているか」「効果が出ているか」の見える化をより重視する方向に動いています。
つまり、「健康への配慮」はこれから義務に近づく評価軸になっていく、ということです。
3.賃金アップだけでは済まない、その理由
賃金を上げることは正しい方向です。けれど、それだけでは“必要十分"ではないことを、経営者として先に知っておいてほしい。
高い賃金 ≠ 高いモチベーション・健康
賃金が改善されても、職場の環境が過酷だったり、休みが取りにくかったり、メンタル面でのケアが無ければ、社員は疲れをため込んでしまいます。疲れはミスを生み、離職を生み、採用コストを跳ね上げます。
コストだけでなく見えないコスト
体調不良や慢性疲労、休職の増加。これらは表には出ない“隠れたコスト"です。例えば一人が病気で休むと、その穴を埋めるために他の社員に負荷がかかります。そういう連鎖が起きると、会社全体のパフォーマンスが落ちます。
社員の期待値が上がっている
今の求職者や社員は、「お給料」「休暇の取りやすさ」「働く時間」「心の負荷」に敏感です。条件が似た会社が複数あれば、健康や働きやすさで差が付く時代です。
4.経営者として、今すぐやるべきこと
人事・労務に詳しくない方でも、これなら手を付けられる、という実践的なステップをいくつか挙げます。
ステップ1
自社の最低賃金・人件費構造を把握する
今のアルバイト・パート・社員の時給はいくらか、それを新しい最低賃金に照らしてどう影響するか、計算しておく。特に地方と都市で差がある場合は注意。
ステップ2
健康状態・労働環境を社員の声で聞く
例えば「疲れやすさ」「休みが取れているか」「残業の負荷」「メンタルのストレス」などをアンケートで聞く。現場のリアルを知ることで、対策が見えてきます。
ステップ3
賃金以外の働きやすさを整える
・休暇・有給消化のしやすさ・柔軟な働き方(シフト・時間帯など)・健康診断・ストレスチェックなどの制度を導入または充実させる・産業医・保健師との相談窓口をつくる・休職や病欠をきちんとフォローする体制を整える
ステップ4
評価と改善を回す
「やっただけ」で終わらせず、「やってどう変わったか」を定期的に見直す。数値(休職率・有給取得率・社員満足度など)を取るといい。
経営とは、数字だけを追うゲームではありません。人の暮らし、人の心、そして会社という集合体をどう育てるか。ここにこそ、持続可能な強さがあります。
「賃金を引き上げることは恩義ではない。社員が健康で働ける環境を整えることもまた、あなたの責任でありブランドである」私はそう思うのです。
賃金アップは、社員との約束。健康配慮は、信頼の証。どちらも疎かにすれば、社員の心の離れは静かに起きます。そしてそのとき、会社は知らぬ間に大切な宝、人材を失っているのです。
結び
2025年10月から順次施行される最低賃金の改定、健康経営度調査の厳格化・見える化。これらは、経営者が“これまでどおり"ではいられないことを知らせる警鐘です。
賃金と健康、どちらか一方ではなく、両方を丁寧に見つめる。その決断を、いま。そしてあなたの会社が「人に愛され、社員に誇られる企業」であり続けるために。