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【AIと向き合う②】その効率化、本当にAIが答えですか? ―給与計算の現場で、私が最初に考えること―

2026/06/01 17:44:13  コラム


前回、私は「問いを立てる力」が、これからの働き方を変えていくのではないか、と書きました。

今回はその続きとして、もう少し現場に近い話をしたいと思います。
テーマは、私たち社労士にとって身近な「給与計算」です。

いま、どの会社でも「AIを使えばもっと効率化できるのでは?」という声が聞かれるようになりました。
給与計算も、その例外ではありません。
「この作業、AIにやらせれば早いのでは?」
そう考えること自体は、とても自然なことだと思います。

けれども、私はその前に、一度立ち止まることにしています。

「この作業は、そもそもなぜ大変なのだろうか」と。


給与計算が大変になる理由は、会社によって違います。
手当の種類が多すぎて、毎月の判断に時間がかかっている会社。
支給ルールがあいまいで、担当者の頭の中にしか正解がない会社。
Excelの表が継ぎ足しでふくらみ、誰も全体を把握できなくなっている会社。

そのどれもが「大変」なのですが、大変の中身がまるで違います。

ここを見ないまま「AIで効率化」と進めると、どうなるか。
あいまいなルールはあいまいなまま、AIに渡されます。
複雑な手当は、複雑なまま自動化されます。
結果的に多くの場合、問題はなくならず、見えにくくなるだけです。

私が現場で感じるのは、答えが必ずしもAIとは限らない、ということです。


ある会社では、Excelの関数を少し見直すだけで、作業が半分になりました。
別の会社では、マクロを組むことで、毎月の手間がほとんどなくなりました。
そしてある会社では、そもそもの手当のあり方を整理したことで、計算が楽になっただけでなく、社員にとっても「わかりやすい給与」になりました。

最後の例は、効率化の話のはずが、いつのまにか「制度をどう整えるか」という話に変わっていました。
私は、これこそが社労士の仕事だと思っています。

AIは、たしかに強力な道具です。
うまく使えば、私たちを単純作業から解放してくれます。
けれども道具は、「何のために使うのか」が決まって初めて、力を発揮します。

包丁が、料理人の手にあるのと、目的のないまま握られているのとでは、まるで意味が違うように。

だから私は、AIを使うかどうかを考える前に、いつもこう問います。

「この作業は、本当に必要なのか」
「面倒の本当の原因は、どこにあるのか」
「ここを楽にして、私たちは何を得たいのか」


この問いを飛ばして効率化を進めると、速くはなっても、会社は何も変わりません。
逆に、この問いから始めると、たとえAIを使わなくても、現場はちゃんと軽くなっていきます。

私たちJOYが大切にしているのは、AIで人の仕事を置き換えることではありません。
まず課題を見つけ、問いを立てること。
その上で、AIがふさわしければ使い、Excelで足りるならExcelで、制度を直すべきなら制度を直す。


道具を選ぶのは、いつも人間の側であってほしい。
そう願いながら、私は今日も給与計算の現場と向き合っています。

効率化とは、速くすることではなく、何を大切にするかを選び直すことなのかもしれません。


社会保険労務士法人 JOY
代表 松村真奈美
保有資格
社会保険労務士
専門分野
人に関する様々な悩みの解決
経歴
静岡県出身。大学卒業後、専門商社や大手ウェルネス関連メーカーで勤務し、出産退職。 平成17年に社労士試験に合格。広島で大手通信企業に勤務し、新人研修、スタッフ労務管理、 採用業務などを経た後、営業部門へ異動。自社ソフト販売コンテストで全国1位を獲得。 法人営業を通じて経営者やスタッフの悩みに寄り添い、独立を決意。令和元年7月1日に まつむら社会保険労務士事務所を開設。人事や営業の経験を活かし、多くの人が活躍できる フィールドを創り、企業の成長を支えるために毎日奔走中。
一言
超えられない課題は与えられない。必ず乗り越えられるからこそ課題はやってくるのだと 私は信じています。もしよろしければ、課題を超えたその先の景色を私と一緒に見てみませんか?
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