広島の労務パートナー 会社に寄り添い、未来をデザインする労務の専門家

他士業との業務連携について

お知らせ

あなたの会社の社員は本当に定年したらやめたほうがいいのか?

2024.09.30 コラム

■はじめに

日本では、少子高齢化が加速し、企業における労働力不足がますます深刻化しています。特に中小企業や専門性の高い業界では、人材を確保するのが難しく、その結果、企業の成長が阻害されるリスクが高まっています。こうした状況下で、60歳を迎えた社員を「定年退職」として送り出すだけで、本当に企業にとって最善の策なのでしょうか?

 

この記事では、定年退職者の経験やスキルを最大限に活かし、彼らが定年後も自分らしく働き続けられるようなプランを提供することの重要性について考察します。また、オンワードホールディングスや東陽テクニカの事例を交えながら、企業が再雇用制度を活用し、定年後の社員を貴重な戦力としてどのように活用できるのかを探ります。

■定年後の社員に適した働き方の提供

定年を迎えた社員にとって、新たなキャリアを見つけるのは容易ではありません。多くの社員は定年後も働き続けたいと考えているものの、企業側が提供する再雇用制度が限定的であったり、条件が厳しかったりするため、その希望が叶わないことが多いのが現状です。

 

しかし、企業側が柔軟な働き方を提供することで、定年後の社員も再びその経験とスキルを活かして活躍することができます。例えば、パートタイム勤務やリモートワーク、フレックスタイムなど、個々のライフスタイルに合わせた働き方を提案することで、定年後も働きやすい環境が整い、社員のモチベーションが維持されます。

 

オンワードホールディングスでは、定年後も社員が働き続けられるようにするための具体的な取り組みを行っています。彼らは、定年退職者の知識と経験を活かすため、柔軟な雇用形態を導入し、再雇用後も自分らしい働き方ができる環境を整えています。これにより、社員は自分のペースで働き続けることができ、企業にとっても労働力不足を補う貴重な人材を確保することができます。

 

https://senken.co.jp/posts/onward-240711

 

また、東陽テクニカ社が導入したマイスター制度は、定年後の社員にもその経験やスキルを活かせる仕組みを提供しています。この制度では、熟練した技術者が若手社員の育成に関与することで、企業全体のスキルレベルが向上し、また退職者のモチベーションを高めることができます。具体的には、ベテラン社員がプロジェクトのコンサルタントとして働くことで、若手社員の指導や企業の成長に直接貢献できるようになります。

 

https://www.rodo.co.jp/news/181635/

 

定年後もその人らしいプランを作り、働いていただくこと

定年を迎える社員に対して、企業がその人らしいキャリアプランを提供することは非常に重要です。単に再雇用するだけでなく、その社員がどのように会社に貢献できるのかを考え、個別にプランを作成することで、社員が自分の経験やスキルを最大限に活かしながら働くことが可能になります。

 

オンワードホールディングスでは、定年後もその社員が自分らしく働けるよう、個別のキャリアプランを策定しています。例えば、特定のプロジェクトにおけるリーダーシップを任せたり、新規事業の立ち上げにおいて重要な役割を担ったりすることで、社員は新たな目標を持つことができ、会社に対する貢献度も高まります。さらに、企業側としても、貴重な経験を持つ社員を有効に活用することで、業績の向上や企業の成長を促進することができます。

 

また、定年後の社員に対して、新しいスキルを習得する機会を提供することも有効です。例えば、社内外の研修プログラムや専門資格の取得を支援する制度を整えることで、社員が継続的に成長し続ける環境を提供できます。これにより、定年後も自分自身の価値を高め、社会に貢献し続けることができるのです。

■自分自身を大切にしながら社会に関わる

定年後の働き方で最も大切なことは、社員が自分自身を大切にしながら、社会と関わり続けることです。多くの定年退職者は、突然の環境の変化に戸惑いを感じ、自分の居場所を見失うことがあります。しかし、企業が彼らのために柔軟で支援的な環境を提供することで、社員は新しいライフステージでも社会とのつながりを保つことができるのです。

 

具体的には、健康管理やワークライフバランスを尊重しつつ、適切なペースで働くことができる環境を提供することが重要です。例えば、オンワードホールディングスでは、健康診断やフィットネスプログラム、ストレス管理のためのカウンセリングサービスを導入し、社員が健康を維持しながら働ける環境を整えています。

 

また、社員が社会貢献活動に参加する機会を提供することも、定年後の働き方として有意義です。例えば、地域社会でのボランティア活動やNPO団体との連携によるプロジェクトへの参加を奨励することで、社員が社会とのつながりを維持し、自己実現を図ることができます。これにより、社員は単に「働く」だけでなく、社会全体に対して積極的に貢献することができ、企業としてもその活動を支援することで、社会的な評価を高めることができるでしょう。

経験を活かすマイスター制度の導入

東陽テクニカ社が導入したマイスター制度は、企業が定年退職者の経験を最大限に活用するための一つの方法です。この制度では、定年後も社員がその豊富な経験と知識を活かし、若手社員の育成やプロジェクトの指導に携わることができます。

 

マイスター制度を導入することで、企業は定年退職者の知識とスキルを次世代に継承しつつ、組織全体の成長を促進することができます。さらに、この制度は、定年退職者自身にとっても、自己価値を再認識し、働く意欲を維持するための重要な要素となります。

 

オンワードホールディングスも、定年後の社員に新たな役割を与えることで、企業全体の活力を維持しています。彼らは、定年後の社員がマイスターとしての役割を担い、後進の指導や社内の技術伝承に貢献することを奨励しています。これにより、企業全体のスキルが向上し、若手社員が実践的な経験を積むことで、競争力が強化されます。

さいごに

労働力不足が深刻化する現代において、企業が定年退職者を活用することは、単なる選択肢ではなく、必要不可欠な戦略となりつつあります。定年後もその社員らしいプランを提供し、自分自身を大切にしながら社会と関わり続けることができる環境を整えることで、企業も社員も共に成長できる未来が開けるでしょう。

 

ご紹介した2社の取り組みは、定年退職者の経験と知識を有効に活用し、企業全体の成長を支える重要な戦略として注目に値します。これらの事例は、定年後も社員が社会と関わり続け、自らのキャリアを発展させる可能性を示しています。

 

あなたの会社の社員は、本当に定年で引退すべきなのでしょうか?彼らの経験と知識を活かし、今の時代に適した働き方を提供することで、企業にとっても社員にとっても大きな価値を生み出すことができるはずです。今こそ、再雇用制度やマイスター制度を見直し、定年退職者を新たな戦力として再活用するための一歩を踏み出す時です。企業がこの一歩を踏み出すことで、未来に向けた持続的な成長が実現されるでしょう。

 

企業が労働力不足に直面する中で、定年退職者を再雇用し、その能力を引き出すことは、単なる対症療法ではなく、組織全体の競争力を強化するための長期的な戦略として位置づけられます。これらの取り組みを通じて、企業はより柔軟でダイナミックな労働環境を提供し、社員が生涯にわたり成長し続ける場を提供できるのです。

 

ご紹介した2社の先進的な取り組みは、他の企業にとっても示唆に富んだモデルケースです。これらの事例を参考に、企業は自社の再雇用制度や社員のキャリアプランニングを見直し、社員が自分自身を大切にしながらも社会と深く関わり続けることができるような仕組みを構築することが求められています。これこそが、これからの企業経営において重要な視点となるでしょう。

 

お問い合わせはこちら

執筆者情報
執筆者の画像
社会保険労務士法人 JOY 代表 松村真奈美
保有資格社会保険労務士
専門分野人に関する様々な悩みの解決
経歴静岡県出身。大学卒業後、専門商社や大手ウェルネス関連メーカーで勤務し、出産退職。 平成17年に社労士試験に合格。広島で大手通信企業に勤務し、新人研修、スタッフ労務管理、 採用業務などを経た後、営業部門へ異動。自社ソフト販売コンテストで全国1位を獲得。 法人営業を通じて経営者やスタッフの悩みに寄り添い、独立を決意。令和元年7月1日に まつむら社会保険労務士事務所を開設。人事や営業の経験を活かし、多くの人が活躍できる フィールドを創り、企業の成長を支えるために毎日奔走中。
一言超えられない課題は与えられない。必ず乗り越えられるからこそ課題はやってくるのだと 私は信じています。もしよろしければ、課題を超えたその先の景色を私と一緒に見てみませんか?
本件に関する無料相談はこちら

最新のお知らせ・セミナー情報

労務相談のご予約はこちらから
082-962-3664
受付:平日9:00〜18:00

事務所アクセス