運送業における有給休暇の申請方法の整理と導入事例
企業概要
業種: 運送業 従業員数: 約80名 課題: 有給休暇の申請方法が不明瞭であり、労働時間が40時間を超える場合に有給申請が適用されない問題や、有給の多量申請による業務への影響を懸念している。
1. 現状の労務の課題
運送業の80名規模の企業から、有給休暇に関する以下の2つの課題が相談されました。
課題1: 週の労働時間が40時間を超える場合、有給休暇ではなく公休日として処理しているため、ドライバーから「有給取得ができない」との意見が出ている。
課題2: 有給休暇の申請が集中した場合、繁忙期などで運行計画に支障が出る可能性があるため、申請ルールの整備が必要。
2. 社労士事務所からの提案内容
この課題に対して、当事務所では以下の内容で指導しました。
課題1への対応: 法的観点から、有給休暇は労働基準法に基づき、一定の条件を満たす従業員に対して、労働時間に関わらず付与されるべきである。
公休日と有給休暇の処理について再検討し、勤務時間管理を徹底することで、ドライバーからの不満解消を図る。
課題2への対応: 繁忙期における有給休暇の取得ルールを確立し、時季変更権や計画的付与制度の導入を提案。
これにより、労使双方のニーズを調整しながら、円滑な有給消化を目指す。
有給休暇申請の期限や手順を明確にし、事前に配車課で調整が可能なシステムの導入を推奨。
指導書の作成と提供: 一般的な有給休暇の導入マニュアルをベースに、運送業の特性に合わせた申請方法のカスタマイズを提案。さらに、就業規則の見直しを行い、労使協議を進めることを推奨しました。
3. 解決後の結果
企業は社労士事務所が提供した指導書をもとに、自社独自の有給申請ルールの構築に取り組むことを決定しました。以下の結果が得られました。
有給休暇の取得方法の明確化: 公休日と有給休暇の区別が明確になり、ドライバーの有給休暇取得の機会が改善されました。
繁忙期における有給取得の調整: 計画的付与制度を取り入れることで、運行計画に支障が出ることなく、有給休暇の取得が可能になりました。
労使の協議促進: 労使双方が話し合いを通じて、より実践的で柔軟な有給休暇のルールを構築するための第一歩を踏み出しました。
4. 本件のポイント
有給休暇の法的基準を確認し、公休日との違いを明確化 時季変更権や計画的付与の導入で繁忙期の調整を実現 労使協議を通じた柔軟な運用ルールの構築 この事例では、法的観点を踏まえつつ、企業の業態に合わせた有給休暇制度の見直しが行われ、従業員の満足度向上と業務効率のバランスが取れた結果が得られました。