労災事故による過去の労働者性認定とその対応の事例
現状の労務の課題
今回の事例は、産廃・解体業者が労働者を雇用していなかったにもかかわらず、現場で大事故が発生し、外注として働いていた方が労働者性を有すると判断されたことに端を発します。
これにより、その方は労災保険の対象となり、業者は労災保険の加入手続きを遡って行う必要が生じました。
さらに、対象者の賃金台帳や出勤簿も過去2年分にわたって作成しなければならない状況に陥りました。
社労士事務所からの提案内容
当事務所では、以下のような対応策を提案・実施しました。
労災保険の遡及手続き:業者が労災保険に加入していなかったため、過去の労働者性が認められた時点から遡って加入手続きを行いました。
賃金台帳と出勤簿の作成:過去2年分の賃金台帳と出勤簿を、対象者との連携を通じて作成しました。これにより、法的に必要な書類の整備を完了させました。
労働者性の説明と対策:業者に対して、外注と労働者の違いを説明し、今後同様の問題が発生しないように、外注契約の見直しや適切な契約書の作成を提案しました。
解決後の結果
これらの対応により、業者は労災保険の遡及手続きを完了し、対象者の労災事故に対する補償が適切に行われることとなりました。
また、業者は外注契約の在り方を見直すきっかけを得て、今後のリスク管理が強化されました。
結果として、今後の労働者性の判断におけるトラブルの予防が可能となりました。
本件のポイント
労働者性の認定が事故後に行われた点:外注として扱われていた方が労働者性を有すると判断されたことで、過去に遡っての労災手続きが必要となった。
法的書類の遡及整備:賃金台帳や出勤簿を過去に遡って作成し、法的な要求に応じた点。
外注契約の見直しと説明:外注と労働者の違いを業者に理解させ、今後のトラブル予防策を講じた点。
今回の事例は、外注労働者が労働者性を認定された場合のリスク管理の重要性を再認識させるものでした。
事前に労働者性の可能性を検討し、適切な対策を講じることで、企業は大きなトラブルを未然に防ぐことができます。